第4回 あすなろ塾
日時:2024年6月28日(金)~29日(日)
会場:メディカルクオール株式会社 セミナールーム10F(103号室)
(東京都中央区日本橋2-14-1 フロントプレイス日本橋ビル)
基本テーマ
「道徳なき経済は犯罪であり、 経済なき道徳は寝言である」
Real World Data (RWD)は目的が明確で、且つ経済的に見合う場合には上手くまわることが示された。これからは、この利点を共有し発展させる必要がある。しかし、ニッチなデバイス や本邦における新規開発へのRWD活用は、経済的に見合わない可能性が高く、RWDだけではない異なった戦略が必要になるであろう。将来を見据えたRWDとなるとハードルはさらに高まることが容易に想像できる。施設におけるデータ入力の負担(アカデミア)、資金の負担 (企業)、審査側(行政)における期待も重なりにくい。加えて、RWDと保険(価値)も別々には考えられない。設計図(事業戦略)が描けないからである。これらの現状や課題について、実例をあげながら様々な角度から皆さんと議論・勉強する場となるよう企画した。
プログラム
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6月28日(金)
13時00分~13時05分
開会あいさつ
RWDをサスティナブルにするための施策を皆で考えよう。
医療機器においてもRWDの利活用が始まった。これは世界的な潮流である。本セッションでは、着火したRWD利活用、この潮流を失速させないためにはどうすべきかを議論したい。
>上野 高史先生(聖峰会マリン病院) 中村 正人先生(東邦大学)
1.申請・承認における海外RWD活用例から学ぶ
司会:上妻 謙先生(帝京大学) 齋藤 正美先生(厚生労働省)
13時05分~13時30分 基調講演
米国医療機器RWDによる申請・承認の現状
>池野 文昭先生(スタンフォード大学/MedVenture Partners株式会社)
13時30分~13時50分 一般講演
1)米国RWDの活用:信頼性?コスト?
>北山 喜久美先生(エドワーズライフサイエンス合同会社)
2)米国におけるRWDの活用実例
>安原 大喜先生(日本メドトロニック株式会社)
13時50分~14時20分 Discussion
Discussants
>官:森川 華子先生(PMDA) 芝 武志先生(PMDA) 高橋 彩来先生(厚生労働省)
>産:千秋 和久先生(テルモ株式会社) 武田 慶一先生(クックメディカルジャパン合同会社)
>学:辻田 賢一先生(熊本大学) 仲間 達也先生(東京ベイ・浦安市川医療センター)
14時20分~14時35分 休憩
2.苦戦した事例から学ぶ
成功体験は重要であるが、苦戦した経験はもっと重要であろう。なぜなら、どこの会社も公表しないからである。 想定外は本当に想定できなかったのか?対策はあったのか?
>司会:内田 毅彦先生(サナメディ株式会社) 池野 文昭先生(スタンフォード大学/Med Venture Partners株式会社)
14時35分~15時15分 一般講演
1)米国データが参考にならなかった例
>類家 章寛先生(センチュリーメディカル株式会社)
2)臨床研究不成功例
川原 一夫先生(ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社)
3)FFR-CT市場予想とのGAP
>清水 寿一先生(ハートフロー・ジャパン合同会社)
4)CorPath2000 give up想定できたか
>上野 高史先生(聖峰会マリン病院)
15時15分~15時45分 Discussion
Discussants
>官:森川 華子先生(PMDA) 芝 武志先生(PMDA) 齋藤 正美先生(厚生労働省)
>産:土井 功先生(株式会社グリーンフィールド) 守田 恭彦先生(ニプロ株式会社)
>学:田邉 健吾先生(三井記念病院) 原 英彦先生(東邦大学)
15時45分~16時00分 休憩
3. 医療機器のみらいを担う人財育成
医療機器産業の活性化に向けて、業界、医療関係者、行政の人財ネットワーク構築を目的に、2020年に医機連が「医療機器のみらいを担う人財育成プロジェクト(みらプロ)」を立ち上げた。既に三期まで開催されている。
みらプロにおける人財育成の考え方や、実際に参加した若手メンバーからの声、将来に向けた提言等を共有し、持続可能な医療を支える医療機器産業の在り方や、今後の医療機器産業の更なる活性化に向けて議論する。
>司会:白土 治己先生(PMDA) 守田 恭彦先生(ニプロ株式会社)
16時00分~16時50分 一般講演
1)みらプロとは
>田中 志穂先生(一般社団法人日本医療機器産業連合会)
2)みらプロに参加して:企業の立場から-1
>益﨑 隆志先生(テルモ株式会社)
3)みらプロに参加して:企業の立場から-2
>大浦 藤子先生(日本メドトロニック株式会社)
4)みらプロに参加して:行政の立場から
>土井 万理香先生(厚生労働省)
5) みらプロに参加して:審査の立場から
>田中 謙成先生(PMDA)
16時50分 ~ 17時20分 Discussion
Discussants:
>官:雪田 嘉穂先生(経済産業省)
>産:宮坂 強先生(サムエルプランニング株式会社) 三木 章伍先生(株式会社カネカ)
医療機器産業の活性化に向けて、業界、医療関係者、行政の人財ネットワーク構築を目的に、2020年に医機連が「医療機器のみらいを担う人財育成プロジェクト(みらプロ)」を立ち上げた。既に三期まで開催されている。
みらプロにおける人財育成の考え方や、実際に参加した若手メンバーからの声、将来に向けた提言等を共有し、
持続可能な医療を支える医療機器産業の在り方や、今後の医療機器産業の更なる活性化に向けて議論する。
17時20分 ~ 17時35分 休憩
4. プログラム医療機器やAIを活用した医療機器こそRWDが必要では?
RWDをより発展させるためにはAI/SaMDが重要ではないだろうか。RWDは教師データとして、また実際の有効性検証として使える貴重なデータである。
>司会:辻田 賢一先生(熊本大学) 土井 功夫先生(株式会社グリーンフィールド)
17時35分 ~ 18時00分
基調講演:AIを活用した医療機器の品質について。材料次第で味が変わる。AIの品質保証はどうあるべきか?
>松葉 威人先生(株式会社Citadel AI)
18時00分 ~ 18時30分 一般講演
1)CureAppにおける教師
>谷川 朋幸先生(株式会社CureApp)
2)インフルエンザ判定の教師
>沖山 翔先生(アイリス株式会社)
3)行政の考え方
>小池 和央先生(PMDA)
18時30分 ~ 19時00分 Discussion
Discussants:
>官:弓場 充先生(PMDA)
>産:西牟田 実代先生(バイオトロニックジャパン株式会社) 清水 寿一先生(ハートフロー・ジャパン合同会社) 髙橋 不二麿先生(株式会社フィリップス・ジャパン)
19時30分 ~ 21時00分 懇親会
6月29日(土)
5.医療のvalue:P4Pを考える
>司会:田村 誠先生(一般社団法人医療システムプランニング) 中村 正人先生(東邦大学)
医療産業も視点を変えてとらえることが必要であり、本邦における医療産業成長にはそれが必須であろう。本セッションでは、医療産業の成長を導くための新たな方向性を議論したい。
医療のvalueを考えたとき、valueに基づいた診療報酬といった考え方がある。その一つが、医療機関のパフォーマンスによって診療報酬が変動する仕組みである(pay-for-performance, P4P)。しかし、この議論は進んでいない。本セッションでは、具体的な事例からどのように設計するか?どのような課題があるか議論を行う。
9時00分 ~ 9時30分 基調講演
P4Pとは
>池田 俊也先生(国際医療福祉大学大学院)
9時30分 ~ 9時50分 一般講演
1)P4P – 大腸内視鏡のAI支援
>三澤 将史先生(昭和大学横浜市北部病院)
2)P4P – デジタルヘルスの分野での議論
>田村 誠先生(一般社団法人医療システムプランニング)9:50 – 10:20 Discussion
P4Pの導入を循環器領域で具体的に考える
Discussants:
>官:笠原 真吾先生(一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD))
>産:林 利史先生(エドワーズライフサイエンス合同会社)
杉浦 一保先生(Shockwave Medical Japan株式会社)
金光 一瑛先生(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
>学:上妻 謙先生(帝京大学) 飯島 雷輔先生(東邦大学) 仲間 達也先生(東京ベイ・浦安市川医療センター)
10時20分 ~ 10時35分 休憩
6.目的が合致すればサーキットはまわる。でも、ただやればいいのではない。
本邦における成功体験から学ぶ
>司会:俵木 登美子先生(くすりの適正使用協議会) 上野 高史先生(聖峰会マリン病院)
10時35分 ~ 10時55分 総論
ALLIANCE STUDY試験の経験を共有し、次のステップを考える
>中村 正人先生(東邦大学)
1)仮説検証の必要性は?
2)All-comersの現実性は?
(a)施設の選択は?
(b)抽出症例数の妥当性は?
(c)すべてのRWD全例登録が必須か?
3)信頼性はどうするか?
(a)モニタリング監査
10時55分 ~ 11時15分 追加発言
企業の立場から、継続的なRWD利活用はどうあるべきか
>川原 一夫先生(ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社)
11時15分 ~ 12時05分 Discussion
上記に費用の観点も交えて継続性を議論する
Discussants:
>官:相澤 浩一先生(PMDA) 石井 健介先生(PMDA) 大石 淳一先生(PMDA)
>産:千秋 和久先生(テルモ株式会社) 三木 省伍先生(カネカ株式会社)
>学:上妻 謙先生(帝京大学)
12時05分 ~ 12時20分 休憩
7.ランチョンセッション 「RWD利活用のあらたな道:From Japan to other countries.」
>司会:茂呂 太一先生(株式会社 OFFICE T・K・M) 池田 浩治先生(東北大学病院臨床研究推進センター)
2018年にオーストラリアが、2024年4月にブラジルが日本を医療機器簡略審査の対象国に追加した。
現在、11か国で医療機器の審査の迅速化や軽減が可能となっている。この流れは、RWD利活用の推進にもつながるのであろうか?
12時20分 ~ 12時25分 イントロダクション
>中村 正人先生(東邦大学)
12時25分 ~ 13時10分 Discussion
― 日本承認による海外承認の加速は、今後日本が目指すべき方向か?
― 日本Firstに変わるか?
― この規制緩和に何を期待するか?
― RWD利活用における2次利用で 個人情報保護法で問題になることはないのか?
1)例えば、2次利用の記載が同意書にあれば、A社が供出したレジストリは目的にないデータも
2次利用は可能。そのときA社のデータをB社は利用できるのか?
2)OPC (Objective Performance Criterion)のコンセンサスとは? どの段階で公知情報として
使えるようになったと言えるのか?
3)利活用促進のため米国以外のレジストリ活用の可能性はあるのか?
Discussants:
>官:中井 清人先生(厚生労働省) 高江 慎一先生(厚生労働省)
>産:安原 大喜先生(日本メドトロニック株式会社) 守田 恭彦先生(ニプロ株式会社) 武田 慶一先生(クックメディカルジャパン株式会社) 石原 和人先生(朝日インテック株式会社) 川原 一夫先生(ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社) 千秋 和久先生(テルモ株式会社)
13時10分 ~ 13時25分 休憩
8.Adjunctive device, ニッチデバイスのRWDを考える:リバランスが必須だが、本当に実現可能?
>司会:土井 功夫先生(株式会社グリーンフィールド) 中村 正人先生(東邦大学)
RWDが必要であっても、経済的な観点から実施困難な事例は少なくない。申請―承認―承認後と一連の計画(リバランス計画)を申請当初から考える時代となっている。一方、設計するには価格の設定など現実的な問題がある。どうすべきか?
13時25分 ~ 13時40分 基調講演
Adjunctive device, ニッチデバイスのRWDを考える:リバランスが必須だが、本当に実現可能?
>中村 正人先生(東邦大学)
13時40分 ~ 14時10分 Discussion
・どのような考え方があるか?
・OPG (Objective Performance Goal)による単群試験は?
・2段階承認は?
Discussants:
>官:石井 健介先生(PMDA) 高江 慎一先生(厚生労働省)
>産:茂呂 太一先生(株式会社 OFFICE T・K・M) 石原 和人先生(朝日インテック株式会社) 三木 省伍先生(株式会社カネカ)
>学:香坂 俊先生(慶應義塾大学) 上野 高史先生(聖峰会マリン病院)
14時10分 ~ 14時25分 休憩
9.保険=承認の時代終焉、その向こう側に見える明るい世界、暗い世界
9-1 第一部:経済成長と社会保障のアンバランス医療のGAPをどう考えるのか
>司会:俵木 登美子先生(くすりの適正使用協議会) 石井 健介先生(PMDA)
経済成長と社会保障のアンバランス医療のGAPをどう考えるのか。社会保障費が高騰し、医療資源の適正な利活用が求められている。GDPの伸び率よりも社会保障費の伸び率のほうが大きくなっている。しかし、医療が産業たるためには伸び率を許容した、新たな政策が求められる。
14時25分 ~ 14時50分
基調講演:皆保険制度の利点と限界。どうする日本
>ケイミン ワング(一般社団法人医療システムプランニング顧問(元エドワーズライフサイエンス社コーポレートVP))
14時50分 ~ 15時30分 一般講演
1)海外からみた日本
>池野 文昭先生(スタンフォード大学/ Med Venture Partners株式会社)
2)開発の経験
>内田 毅彦(サナメディ株式会社)
3)アカデミアの立場から:行政の経験を踏まえて
>佐藤 敏信先生(久留米大学)
4)産業育成の観点から
>渡辺 信彦先生(経済産業省)
15時30分 ~ 16時00分 Discussion
現時点におけるコンセンサスはなにか?
Discussants:
>官:高江 慎一先生(厚生労働省)
>産:金光 一瑛先生(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
16時00分 ~ 16時15分 休憩
9-2 第二部:医療機器の償還の行方は? コンセンサスをベースに対策を考える
>司会:島田 隆先生(一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD)顧問) 上野 高史先生(聖峰会マリン病院)
医療機器の償還が市場原理に基づき、市場価格が下がっていくに従い低下していく。これは、ある意味でやむをえないことであるが、利益があがらないものに投資はない。ジェネリックの会社が製造を中止するのとある意味で類似している。医療機器の保険:汎用されれば価格が下がる。これは経済の常ではあるが、医療では継続性において問題。
どのような改革があるか真剣に考えよう。
16時15分 ~ 16時45分 一般講演
1)内資の立場:医療機器における保険償還の問題と今後の改革すべきこと
>松本 亨先生(テルモ株式会社)
2)外資の立場:医療機器における保険償還の問題と今後のAMDDが改革すべきこと
>笠原 真吾先生(一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD))
3)学会:現場が考える保険償還と薬事承認のギャップの問題提言
>田邉 健吾先生(三井記念病院)
16時45分 ~ 17時15分 Discussion
Discussants:
>官 :白土 治己先生(PMDA)
>産 :石原 和人先生(朝日インテック株式会社) 金光 一瑛先生(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
>研究者:田村 誠先生(一般社団法人医療システムプランニング)
>学 :林田 健太郎先生(慶應義塾大学) 仲間 達也(東京ベイ・浦安市川医療センター)
17時15分 ~ 17時30分 休憩
10. 医療機器産業の新潮流
>司会:宮坂 強先生(サムエルプランニング株式会社) 鈴木 由香先生(東北大学病院臨床研究推進センター)
ドラッグ・ラグからドラッグ・ロスの時代に移り変わっていることが、業界誌を飾っている。医療機器産業においても、デバイス・ラグからデバイス・ロスの時代に移り変わっている。審査の充足により審査ラグが解消されてきているなか、何がロスを招いているのか。なぜ国産の開発は進まないのか。移り変わってきた医療機器開発の現状を認識し、医療機器産業の今後の方向性を改めて議論する。
17時30分 ~ 18時30分 一般講演
1)開発の立場で
>田島 知幸先生(株式会社Alivas)
2)VCの立場で
>池野 文昭先生(スタンフォード大学/MedVenture Partners株式会社)
3)企業(外資)の立場で
>島田 隆先生(一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD)顧問)
4)企業(内資)の立場で
>石原 和人先生(朝日インテック株式会社)
5)審査の立場で
>石井 健介(PMDA)
6)行政の立場で
>高江 慎一先生(厚生労働省)
18時30分 ~ 19時00分 Discussion
・どこから始める?
・何が日本流に必要で、その可能性は?
Discussants:
>官 :白土 治己先生(PMDA)
>業界:俵木 登美子先生(一般社団法人薬の適正使用協議会)
>産 :大野 啓先生(大塚メディカルデバイス株式会社)
>学 :林田 健太郎先生(慶應義塾大学)
19時00分 ~ 19時15分
11.総括
>中村 正人先生(東邦大学)
(当日の開催風景)